2012年8月18日土曜日

「100%マネー」カジノ経済を封じ込める処方箋(ビル・トッテン)

【アングロサクソン資本主義の正体―「100%マネー」で日本経済は復活する】ビル・トッテン著 

現在の「マネーシステム」がカジノ経済を膨張させ、国家を借金漬けにし、人々の生活を脅かしている。マネーシステム(お金を生み出すからくり)の中心は「中央銀行制度」と「民間銀行の信用創造」であるが、これらの詐欺性と限界を指摘しつつ、カジノ経済を打破し人々のための金融システムを取り戻すための「100%マネー」システムが提起されている。
特に「銀行の信用創造」=銀行が自由にマネーをつくったり壊したりする「特権」を持っていることが実体経済と金融経済の乖離をもたらすと分析し、マネーを実体経済と一致させることが100%マネーの主眼である。
近未来の金融や銀行のあり方を考える上で興味深い。抜粋して紹介したい。
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■「100%マネー」マネーシステムの危険性を解消する唯一の手段
銀行の信用収縮によってマネーサプライは大幅に減少し、経済は大きなダメージを受ける。景気のアップダウンは、こうして生まれてくるのである。
だが、考えて欲しい。なぜ、銀行は貸出を控え(つまり、マネーをつくるのを止め)、信用収縮させるのか。それは自らが投機的な取引に手を出し、あるいは金融海賊たちに膨大な資金を提供したあげく、失敗したからである。彼らは何度も同じことを繰り返してきた。日本のバブル経済、アメリカのITバブルとサブプライムローン、これらが破綻した結果、信用は収縮し、マネーサプライは急激に減少した。その結果、大規模な不況が襲いかかり、中小企業に対する貸し渋りや貸しはがし、さらにはリストラや派遣切りが社会問題化していった。
こうした景気減退の根底にあるのが、現在の金融システムの弱点である。民間にマネー創造をゆだねているこのシステムこそ、インフレやデフレをもたらし、好不況の波を現出させ、さらには巨額の博打を繰り返す金融海賊をはびこらせているのである。

このような不安定なマネーシステムを解消するには、根本的にシステムの変更をはかるしかない。「100%マネー」は、そのための有効な解決策となるのである。
「100%マネー」を簡単に説明するならば、普通銀行がいつでも預金を100%現金化できるようにするという考え方である。つまり、銀行は預けられた預金と同額の準備金を持つということであり、それは銀行がマネーを生み出してきた信用創造の機能を手放すということだ。
その結果、マネーサプライの増減を決定するのは、銀行という民間セクターではなくなる。「100%マネー」の実現によって、インフレやデフレ、不況の防止や対策にもなり、さらには国家債務の大部分は消失することになる。

■「100%マネー」実現のためのシナリオ
「100%マネー」の世界では、中央銀行に代わって政府内の「通貨委員会」が紙幣を発行する。銀行は、当座預金と普通預金を受け入れて、その資金の全額を現金で持つ。そうすれば、すべての通帳マネーは、実際のお金として銀行に存在するようになる。預金は、文字通り預金者から委託されている現金であり、したがってその現金は100%準備金として確保されていなければならない。銀行の預金は、お金の持ち主にとって単なる保管場所となる。

銀行は、預かったお金を現金として単に持っているだけであるから、勝手に貸出を行ったり新しい通帳マネーを作り出したりすることはできなくなる。銀行の機能は、金庫としてお金を安全に保管すること、小切手や手形による顧客の資金決済を仲介すること、銀行振り込みによる顧客の資金決済を仲介すること、などに限られる。銀行は、貸出による金利の収入がなくなるが、送金手数料や手形決済手数料などにより諸費用をまかなうことになる。場合によっては、銀行に口座を開設する手数料を徴収してもよいかもしれない。

銀行が貸出を行えないということになると、誰が貸出を行うのであろうか。それは、「貸出機関」である。
彼らは株式や社債を発行して資金を集め、その資金を貸出に用いるのである。そうなれば、貸出機関も勝手に通帳マネーを作り出すこともできない。つまり、現在は銀行が勝手に作り出したり破壊したりしているマネーサプライは、完全に通貨委員会がコントロールできることになるのである。ここでマネーサプライとは、世の中に出回っている紙幣の量のことである。

具体的な移行のプロセスは、以下のようなものとなろう。すなわち、銀行は、新たな貸出が禁じられる。したがって、借り手は銀行から預金をおろして、銀行への返済を行う。銀行は、預金と貸出が同額ずつ減少していくが、手元にある現金の量には変化が無い。しばらくすると、銀行は貸出をすべて回収し終わり、手元には、預金と同じ額の現金が残ることになる。つまり「100%マネー」が実現するのである。

一方、通貨委員会は紙幣を印刷し、市場に出回っている国債を購入する。国債を売却した人は、受け取った紙幣を一部は銀行に預け、一部は「貸出機関」が発行する株式や社債の購入に用いる。新しく借入を行う人は、銀行が貸してくれないので、「貸出機関」から借りる。借りた資金は仕入れ代金等として第三者に支払われる。仕入れ代金等を受け取った人は、その一部を銀行に預金し、残りの紙幣を用いて「貸出機関」の発行する株式や社債を購入する。

通貨委員会は、望ましいマネーサプライの量に達するまで国債の買い入れを行い、対価として紙幣を保有者に手渡す。マネーサプライを増やしたければ追加で国債を購入し、減らしたければ手持ちの国債を市場で売却することになる。つまり、マネーサプライを増やしたり減らしたりすることは、完全に通貨委員会のコントロール下にあるのである。

■「100%マネー」がもたらす、これだけのメリット
1.マネタリー制度がシンプルになる
2.銀行業務がシンプルになる
3.銀行の取り付け騒ぎがなくなる
4.銀行倒産が減る
5.利子のつく政府の債務が大幅に減る
6.激しいインフレやデフレがなくなる
7.好景気と不況は、穏やかになる
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